おじじ、言った、ん、だ?
と、孫と話す、娘の声。
うさぎ。
生と死、この、両方の世界を。
行き来する、神聖な。
そういう、動物だとされる。
そんな、伝説を。
読んだ、ことがあった。
うさぎ、飼いたい!
息子と娘の、声。
不機嫌に、そう、不機嫌に。
拒否、したような、遠い記憶。
分からない。
今となっては。
その記憶。
その、ずっと前の。
俺が、まだ子供の時。
死んだ、うさぎ、の。
そんな、記憶の残像。
それと重なる。
飼育していた、うさぎ、が。
なぜか、アンゴラ種。
その、記憶だけが、鮮明だ。
どこに、埋めた、んだろー。
思い出せない。
午前4時。
うっすらと。
明るくなってきた、仏間。
薄明りに、輪郭が。
段々と、浮かび上がって、くる。
それが、いい。
日の出まで、あと、15分。
それくらい、だろう。