8月期優秀作品発表
ARUHIアワード2022 8月期にご応募いただいた作品の中から選ばれた優秀作品15作品です。
『巣ごもる彼女はでんでん虫』
彩条あきら
(①新しい生活)
両親の離婚により名字が変わったうえ転校を余儀なくされた小学四年生の少女マイ。更にコロナ禍による臨時休校まで重なり、新たな暮らしを受け入れることが一切出来ないまま半年が経過してしまう。そんな中、マイは再開された学校からの帰り道でひとりの不思議な少年に遭遇する…。
『猫の呼び声』
イトウモトコ
(②私の「家族」)
まじめに働き、実家に住んで倹約を続けてきた38歳のハナ。ついにローンを組んで中古の一軒家を買って住み始めると、そこにかつての飼い猫ちゃーの幽霊が現れた。幽霊猫ちゃーとの暮らしを楽しむハナ。しかしある晩、庭から聞こえる子猫の鳴き声に導かれて家の外に出ていったハナが出会ったのは…。
『あと2メートル』
太田純平
(①新しい生活)
未知のウイルスが流行し、世界が未曾有の危機に瀕している昨今。感染を恐れた人々は、人と人との間に一定の距離を保つようになった。その距離は概ね2メートル。ウイルスが弱毒化したこともあり、久々に好きな女の子とのデートに漕ぎつけたのだが、僕たち二人の距離はなかなか埋まらず――。
『アロハシャツとジーンズ』
ウダ・タマキ
(①新しい生活)
幸せな新婚生活だったが、ある事件をきっかけに俺と莉子の将来に暗雲が立ち込めた。莉子が俺の宝物であるアロハシャツを縮ませ、ジーンズを色落ちさせたのだ。仕事のできる莉子が家事は苦手というギャップが愛おしかったが、今回の事件ばかりは結婚相手を誤ったんじゃないかとさえ思わせた。
『ジィジの長い一日』
小沢祐次
(②私の「家族」)
娘が孫を連れて帰って来た。妻と娘が面倒を見ていたが、その二人が寝込み、自分が孫の世話をする事になった。慣れないながら面倒を見ていた時、同級生が死んだとの連絡を受けた。年老いていく将来には何の希望もないと落ち込んだ自分に希望を与えたのは、まだ喋れない孫だった。
『花のメッセージ』
住吉花火
(①新しい生活)
平凡なOLの司には顔を知らない同居人の『ハルちゃん』がいる。シェアハウスのマッチングサービスで出会った彼女は、毎日違う花の写真を送って来る不思議な子だ。そんなある日、司は想い人の田中に話があると告げられる。浮かれる司だったが……。