7月期優秀作品発表
ARUHIアワード2022 7月期にご応募いただいた作品の中から選ばれた優秀作品16作品です。
『新しい生活に欠かせない物』
伊達
(①新しい生活)
大学一年生の春休みを過ごす女である私。そんな私は、机に広がる真っ白な便箋を睨みつつ深くため息をついていた。
『三日月』
ウダ・タマキ
(①新しい生活)
田舎に一人で暮らすばあちゃんが危篤状態だと、親父から連絡を受けた僕は、ばあちゃんちの留守を預かることにした。仕事を辞め、都会の生活に疲れていた僕は、この古民家を民宿にしようと企てていた。すると、ある時から誰かが注文した業者がやって来るようになり、着々と民宿への準備が進むのだった。
『手を伸ばした先』
川瀬えいみ
(①新しい生活)
都会のおひとりさま暮らしを楽しんでいた私は、勤め先の在宅ワーク導入によって、人との繋がりを絶たれ、孤独感に苛まれるようになっていた。そこに突然押しかけてきた安奈。安奈は、以前、私が一方的に切り捨てた傍若無人な友人だった。安奈との再会で、私は、孤独を忘れることができたのだが――。
『ケハイ』
香久山ゆみ
(②私の「家族」)
築四十年の古い家、誰もいないはずの部屋から気配を感じる……。折しも建替えの話が出て、私は反対する。気配が消えてしまったらどうするのだ! それはとても大切な気配なのだから。しかし、建替えは竣工された。気配は取り戻せるのか。家はたんなる器ではなく、家族でつくるものなんだ。
『我が家のまどゐ』
路真菰
(②私の「家族」)
取り壊すことになった祖父母宅の片付けのため、両親と久方ぶりに訪れた私。何十年も空き家にしていた築百年の平家を畳む準備のはずが、古い家の中を巡るうちに家中に残っていた幼い頃の淡い思い出がぽろりぽろりと蘇ってきて…。
『ロボちゃん』
十六夜博士
(②私の「家族」)
長年音信が途絶えていた、母が亡くなった。葬式のため戻った実家には、母が残した可愛いらしいペットロボットがいた。人とコミュニケーションが出来る幼児のようなロボット。私はロボットを放ってはおけず、引き取り、母に代わって飼うことにした。
『まえへ』
室市雅則
(②私の「家族」)
両親から譲り受けた一軒家に一人で暮らす男。広い一軒家を持て余し、どこか人恋しさを感じていると部屋の中に一匹の蜘蛛を見つける。
『安心とラブ』
青井優空
(②私の「家族」)
母と義父に呆れ、従姉の杏の家に逃げ込む高校二年生のさくら。ある夏の日、ドラマを見た杏に家族とはなにか、と問われる。気分屋な杏の友人、イチも加わり、家族とはなにか考える。そして愛を与えたくなる人、色々なことを伝えたくなる人が安心できる人であり、安心できる人こそ家族であると納得する。
『マユちゃんの家族』
後藤由香
(②私の「家族」)
最近元気のないマユちゃん。マユちゃんを心配する量産型の赤いランドセル、マユちゃんにもらわれてきた雑種の飼い犬ポチ、マユちゃんがバレエのレッスンで履いているピンク色のバレエシューズたちがそれぞれ家族の一員としてマユちゃんを見守る。