12月期優秀作品発表
ARUHIアワード12月期にご応募いただいた作品の中から選ばれた優秀作品36作品です。
『つつじ花、いと甘き。』
熊野那奈
(②新しい生活)
遠藤明音は、小学校2年生の時に東京から福井へ引っ越してきた。ずっと東京に住んでいた母・千鶴の戸惑い。それをとかしたのは近所に住む深川伸太郎の一家だった。高校生になった明音と伸太郎の、幼い日の心に残る思い出。その背景には、満開のつつじの花があった。
『金魚を放す』
金井博文
(②新しい生活)
昔の彼女と縁日でとった金魚を川に放そうと思い立った私は、お隣さんから突然預かることになった子供と共に金魚を川に放しに行く。無事金魚も放し子供も迎えが来て帰った後、お礼のコロッケを食べながら空になった水槽を見て一人泣く。しかし隣から聞こえる子供の声で涙を拭く私。
『人生の決断』
倉地雄大
(①大切な「ある日」)
仕事帰りの山手線。電車に乗り「大切なある日」に向かっている僕は、巡り合わせのように、不思議な出来事と遭遇する。自分の将来に見える人、自分の過去を作り上げた人自分と向き合う人と出会う。そのとき、必要な“何か”と向き合うように……。そして、僕は自分の人生において大切なある決心をする。
『本当はダメなサプライズ』
梶原匠平
(①大切な「ある日」)
「今年はどこに行こうか」と妻に尋ねた。来る11月29日は私たち夫婦の結婚記念日なのだ。結婚記念日だからと言って特別大げさなことをするつもりはない。ただし年に1回しかない特別な日なのだからせめて外食くらいはしようか、と妻と結婚した当初に話をしていた。
『誰のものでもない家』
小波蛍
(③マイホーム)
マナミが住むシェアハウスに新しい住人が引っ越してきた。シェアは初めてで、やたら家の掃除やゴミについて追及してくる少し変わった感じの男の子だった。大丈夫なのかと思いながらも、特に何もせず、マナミは一人暮らし用の部屋を探し続ける。そんなある日、ハウスで事件が起こる。
『この木漏れ日がすごい』
洛田二十日
(②新しい生活)
東京でのライター稼業を諦め、地元に戻った柴田ゆき。流れで「木漏れ日のレビューサイト」の運営を開始するとまさかの大好評。地元でブーム到来!そんな中、最高の木漏れ日を見せてくれる大樹を庭にもつ老婦人と出会い、意気投合。柴田は婦人とある一大イベントを画策するも老婦人の狙いは別に…
『優しさに染まるとき』
辻本羽音
(①大切な「ある日」)
親友同士の相川瞳と渡辺結衣は一緒に暮らしていたが、結衣が絵を学ぶためにパリへ行くことに。瞳は寂しさを感じながらも結衣の背中を押す。結衣が出ていった後、部屋を片付けていると、そこには一枚の絵があった。その絵を見た途端にこらえていた結衣への思いが溢れ、瞳は涙を流すのだった。
『Repeater』
長月竜胆
(①大切な「ある日」)
その日暮らしの生活で、生きる意味を見失っている男。忙しい毎日に追われ、自分自身を見失っている女。桜舞い散る春のある夜、二人はすれ違いのようなほんの一瞬の交錯を果たし、自分がそこにいる意味を知る。
『まだ見ぬ君へ』
潮楼奈和
(②新しい生活)
真人と半同棲している初音に、父から久しぶりに帰ると連絡があった。真人は挨拶をしようかと言い出すが、父、修平に真人に合わせる気にはなれなかった。料理好きな修平は帰って早々に初音のためにカレーを作り始める。恋人を紹介しろという修平を交わしながら、食べるカレーにはある意味があった。