12月期優秀作品発表
ARUHIアワード12月期にご応募いただいた作品の中から選ばれた優秀作品36作品です。
『僕たちの手作り弁当』
佐藤勉
(①大切な「ある日」)
僕は妻をがんで亡くして、高校3年生の娘・由夏とふたりで暮らしている。高校の3年間、僕は手作りの弁当を作って娘に持たせていた。卒業が間際になり弁当作りが終わったある日のこと。僕に贈りたいものがあるので卒業式のあとに部室へ来てほしいと娘に言われた。「贈りたいもの」とは、なんだろう?
『交差する記憶』
間詰ちひろ
(①大切な「ある日」)
マンションのエレベーターに閉じ込められた望美と輝子。普段は会話をすることのない二人だが、閉じ込められた空間でそれぞれの悩みや思い出話を打ち明ける。
『雨の日の星空』
清水遥
(①大切な「ある日」)
すき焼きを囲みながら、一枚の写真を契機に振り返る母との思い出。二人にとって、新たな人生の幕開けとなった「大切なある日」は、実は二人とも間違った記憶だった…!?
『我が家のツリー』
黒藪千代
(③マイホーム)
新居への引っ越しに備えて始めた断捨離。不安とワクワクが混在する中で見つけたのは、遠い昔に父から送られたクリスマスプレゼントだった。
『黄色い旗』
吉岡幸一
(②新しい生活)
祖母の死により、祖母が住んでいた家に引っ越して来た慎也は、そこで新しい生活を始めようとする。小学校のPTA会長の吉田が訪ねてきて、祖母の後を継いで子供たちが通学をする見守りの仕事をして欲しいと頼む。慎也はそれを断るが、気むずかしい祖母がそんなことをしていた理由を知りたいと思う。
『五〇%で晴れますように』
高橋まさみ
(①大切な「ある日」)
不登校を初めて半年。家で引きこもっていたある日、父に山登りに誘われる。降水確率五〇%の不安のなかで、父と一緒に初めて山に登る。知らなかった母の面影を知り、今までとは違う景色を眺めて、少しだけ気持ちが前向きになった。五〇%の確率で、空はすっかり晴れている。
『大丈夫、きっと晴れる』
真銅ひろし
(①大切な「ある日」)
ある日、俳優の末永は俳優を志して上京してきた当時を思いだす。風呂なしトイレ共同のアパートから始まった生活を。がむしゃらに突っ走っていた過去の事を思い出しながら、現在の自分が失いかけていた大切な事を再認識する。
『ありがとう』
九
(①大切な「ある日」)
愛猫ロクとの最後の別れを迎える海原ハルカ。悲しい時も疲れた時もロクは側にいて癒してくれた。そんな幸せの日々を与えたくれたロクに、ハルカは最後に感謝の言葉を述べるのであった。
『エスパーの君へ』
村田謙一郎
(①大切な「ある日」)
両親が亡くなり、実家を取り壊すことに決めた私は、かつての自分の部屋の荷物整理のために東京から帰省する。そして押入れのダンボールから、マークが描かれたカードを見つける。それは遥か昔、隣家に住んでいた同級生の女の子、「エスパー真希」の記憶との再会でもあった。