11月期優秀作品発表
ARUHIアワード11月期にご応募いただいた作品の中から選ばれた優秀作品16作品です。
『おばあちゃんのカレンダー』
宮沢早紀
(①大切な「ある日」)
認知症が進み、施設へ移った祖母君枝。誰もいなくなった君枝の家を実樹は母実香子と共に片付けにいき、そこで1冊のカレンダーを見つける。そのカレンダーは君枝の書き込みで埋めつくされていた。毎日誰かの大切な日を思い、祝う君枝の知らない一面にふれた2人は、カレンダーを手に君枝に会いにいく。
『# home』
村田謙一郎
(③マイホーム)
両親の離婚で、東京から母の実家のある田舎町に越してきたさやかは、東京への未練や母への反発から、度々東京に出かけては、友達との交流をSNSにアップしていた。しかし、唯一接してくる野菜農家の娘、優子との交流がさやかの心を変えていく。やがて、町はさやかにとってのホームタウンとなる。
『とりどりの場所』
村崎えん
(③マイホーム)
寂れた駅前、チェーン店がひしめく国道沿い。ここはつまらぬ地方都市。疎んじた故郷に、しかし「私」は帰ってきた。一番嫌いだった場所で得た友人、得た仕事。それらが教えてくれることとは。
『最後のお引っ越し』
室市雅則
(③マイホーム)
最後の引越しをすることになった男。引越しの当日、家の中を巡り、その部屋ごとの思い出を回想する。
『金曜日のカレーライス』
一鶴真琴
(①大切な「ある日」)
平凡な日常だからこそ見つかる幸せがある。私の金曜日はそんな平凡な毎日を刺激的にしてくれるスパイスであった。カレーライスに目がない私は、金曜日の朝に漂ってくるお隣さんのカレーの匂いが気になっていた。そんなある日、カレー不足に陥った私にお隣さんが救いの手を差し伸べてくれた。
『ここが我が家』
森野狐
(③マイホーム)
福原希は大学の友人と四人でシェアハウスをしている。希は授業に就活にアルバイトとせわしなく働き、毎日ヘトヘトになっていた。自宅に帰ると同居人のあかりに迎えられ、なぜか深夜ラーメンに行くことになる。同居人全員を呼びラーメン屋に行く道すがら、四人は将来のことを話し始め…。
『今日、家の前で猫と会った』
白尾ケン
(②新しい生活)
主人公の水上は、大学上京とともにアパートで一人暮らしを始める。隣人さんに挨拶しようとしたが、うまくいかず、大学生活も憧れていた日々とは異なるものだった。ある日、アルバイト先の店長にこっぴどく水上は叱られてしまう。その愚痴を家の前に居た野良猫、ねこ助に話しかけていると、隣部屋から隣人さんが出てくる。
『桜の家』
ウダ・タマキ
(②新しい生活)
夫に先立たれたユキは、娘の勧めにより老人ホームで新たな生活を送ることとなった。これまでとは全く違う環境に慣れないユキは生きる楽しみさえ見失っていたが、彼女の生活に明るい変化をもたらしたのは、認知症を患うサヨ子との出会いだった。
『アンディと陸と凪街と』
もりまりこ
(③マイホーム)
タウン紙のライターをしている空と、とおくの南の島に行ってしまった陸。
空は、ほんとうはこれからの話をしたいのに、彼は大好きなアンディー・ウォーホルか屋久島の悠久の話しかしなかったりする。そんなある日、タウン紙が終わることになって、空の日常もすこしずつ変化しはじめていた。