リンレイアワード9月期にご応募いただいた作品の中から選ばれた優秀作品17作品です。
『フィラメントな夜』
もりまりこ
笠井雫という名前がどこかしっくりしなかった5年間にピリオドを打った。それでも心の中では、なにかがもやっていた。片付け物をしながら、古ぼけたハガキをみつける。20年後に小学校で逢いましょうというメッセージ。意味もなく指折り数えるとその日付はちょうど、1週間後にせまっていた。
『こびりついたものが、ふきとれて』
公乃まつり
産休から復帰して、今ドキの働くママデビューをした結衣。かわいいけど一時も目を離せない息子、協力的なのにどこか抜けてる夫との生活に、疲れきった結衣の肌はボロボロに。こうして妻からママになっていくのかな。そんな余裕のない家族の日常に、特別な時間をくれたのは彼だった。
『トイレ世界周遊紀行』
河野まりな
「仕事、辞めます!」人一倍行動力がある旅好き女子は仕事を辞めて世界周遊の旅を始めた。そして気づく。トイレに行かない日はないのだと。様々な国のトイレ事情を垣間見たからこそ感じる日本のキレイ。
『ホントのキレイを生活から追求する』
金子知香
生きる事を活かすと書いて生活という漢字がある。日常生活のキレイを保つこと、そこに日本の美の根底があるのでないか。化粧や身なりがキレイとか、景色がキレイとか誰が見てもわかりやすい「キレイ」より生活の中のキレイをしたためることで、生きる根本の美を見つめてみたい。
『ようこそ、私の部屋へ』
三浦雅行
千佳子は洗剤・ワックスなどを製造する会社のOLで、後輩の健一と交際を始める。健一は一人暮らしの千佳子の家に行きたがるが、千佳子は頑なに拒絶する。実は千佳子の部屋はゴミ屋敷だった。不信感を募らせる健一を前に、千佳子は途方に暮れるが、友人の遥香に連絡して部屋を片付け始める。
『トビラをあけて』
ヤスイミキオ
いつも玄関掃除を欠かさなかった母は、「綺麗な玄関は幸せを呼ぶ」と言っていた。けれども、両親は離婚。そんな家庭を見てきた娘は、掃除なんてお構いなしの生活を送るようになる。でも、恋をしたことで、自分のためではなく、大切な人やモノを迎えるための掃除、という行為の大切さに気付くのだった。
『一枚の雑巾』
中関令美
綺良羅は東京都の小学一年生。学校は楽しいけれど掃除の時間だけは嫌だった。冷たい水に雑巾を浸すとやってくるゾクっとする寒気。しかし、先生の一言で綺良羅は変わる。そしてアメリカに引っ越すことになった綺良羅は日本のキレイをアメリカに、そして世界に広める夢をもつのである。