いや、たしかにママはあたしの保護者だけど。保護者っていうのは、保護する人だけど。そんななにもかも知ってくれてなくていい。あたしは、ママのこと好きだけど、ママの所有物じゃないし、ママが作ったロボットでもない。人間なんだから。
機械みたいに同じリズムでスプーンを使いながら――そう、ママはリズム感がいい――ママは、自分の作ったハッシュドビーフを口に運んでいる。
「……あたし、なんなの? ママの、なんなの?」
あたしが声を震わせてそう訊いたとき、ママは手を止め、凍てついた笑みを浮かべていった。
「あなたは人形。私の人形。これまでも、そして、これからも、ずっと」
あたしは絶句した。
『私の人形はよい人形……』
小さい頃、子守唄として歌ってくれてた童謡の歌詞と旋律が、呪いの文句のように、耳の奥で粘っこく響いた。