小説

『石太郎』佐藤邦彦(『桃太郎』『竹取物語』『浦島太郎』)

 石太郎の言葉にわき役となった三人が渋々と従い、それぞれ理想のラストシーンを述べます。
「すっかり年老いてしまった乙姫は泣きながら太郎に謝り若返りの薬を渡しました」
「見上げると、かぐや姫の戻った月は妖艶な光を放っていました」
「金銀財宝を持ち帰り桃太郎はお婆さんや村人と末永く幸せに暮らしました」
  石太郎大きく息を吸い込みますと。大きな声でゆっくりと。
「とさ。めでたし、めでたし」

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