視覚的には消失している。
少し嬉しくなったが、違和感は消えない。
それはそうだろう。
股の間に挟まれているだけだ。
クソ、おっと女の子として生まれるのにそんな言葉遣いをしてはならない。
太ももを開くと再びぴょこんと戻ってきた。
そうこうしているうちに輝きが強くなっている。
お爺さんが近くに来ている証だ。
ヤバい。
気ばかりが急いて、対応策が浮かばない。
焦りで体温が上がるばかりでなく、光量も増しているので竹の中が蒸し暑い。
世界一小さなサウナだ。
目尻を伝う汗を手で拭いながら考える。
湿度と緑の匂いがひどくて、思考がネガティブになる。
もう男の子として生きていこう。
きっとこの違和感は、思春期のアンバランスさみたいのが原因で、成長に順ってそれも消えるだろうよ。
そうだよ。
お爺さんに見つかるまで休もう。
うん、そうしよう。
目を瞑った。
すぐに見開いた。
やっぱり嫌だ。
女の子としてこの世のデビューを飾りたい。
自分に正直でありたい。
であるなら、どうするか。
最後の最後に賭ける。