小説

『そして、黄金の午後へ』山本紗也(『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』)

 ポケットから懐中時計を取り出して、
「たいへんだ、たいへんだ、遅刻しそうだ!」
 そう呟きながら、土手の下をつっきっていく。
 まさか、土手の上から女の子が、僕の姿を見ていたなんて思いも知らずに・・・。

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