「けっして言葉を持たないわけじゃない」
「僕等は、こんなにもお喋りなのにね」
僕は大きく頷いた。
「教授のいるところは、実に不可解極まりないところなのだろう」
「なあ、なあ、なあ、教授は言っていただろう」
「ん?」
「7歳未満の子供なら、僕等の事を理解出来るかもって」
「さあ、どうだろうな」
「会いたいと思わないか?」
「冗談だろう!」
僕は大きな声を上げた。
「何故さ?」
「さっきも言っただろう。教授の話では、彼等は僕等の言葉を理解することさえ出来ないって」
「やはり、そうだ」
チャシャは、草の上で体を動かしながら笑う。
「言葉を理解さえ出来れば、彼等も僕等のように友達になれるかもしれない」
嬉しそうに体を動かすチャシャの横に、僕も寝転がる。
「なあ、チャシャ。何故、彼等にそんなに興味を持つの?」
チャシャは、大きな瞳で僕を見つめた。
「教授が淋しそうだから」
「え?」
「僕等に楽しい話を聞かせくれる教授に、僕等のことを理解してくれる友達がいないのは、淋しいことだと思ったからさ」
「・・・」
「彼等の誰かと僕等が友達になれば、教授を理解してくれる友達になってくれるじゃないかと思ってね」
「チャシャは優しいのだな」
「そんなことはないさ」
チャシャは瞳をパチパチさせながら、大きく欠伸をした。