少しばかり急ぎ過ぎのきらいはあるが、どんな場合でも話は終わり方が肝心。下手にずるずると続けて、可愛い女給さんがせっかくもらったご祝儀をイケメンの遊び人に貢いで・・とかの話になったのではまるで面白くない。
実際、棺桶屋が儲けて薄ら笑いで終わったのでは洒落も色気もなかったものが、巡り巡って可愛い女給さんのところにお金が回って、美味いものでも食べてもらって、また元気で励んでもらう・・綺麗な話に整った。
「よし、この辺で手を打とう。この女給さんに病気のお母さんが居たなどがあればもっと綺麗な話になりそうだが、下手をするとそこからまた医者にかかる話にでもなったら困る。因果の小車にももうこの辺で止まってもらわないと、また俺んところに回ってきたりしたら、それこそ元も子もなくなる・・」
庄三の言葉に伊助も納得。二人は満足そうに顔を見合わせて『ではお互い女房殿のところに帰るとするか』と、腰を上げたのだった。