これから口にすることが恐ろしくて堪らない。やはり、何も感じずに終わらせた方が良かったのではないか、という後悔がかすめる。こんな、残酷な仕打ちをするくらいならば、今この瞬間に砕け散ってしまいたい。
それでも、それは叶わない。これは、物である私があの日々を得られた代償なのだろう。
「それは、白雪姫です、お妃様」
静寂が響く。
しかし、すぐに王妃は「そうか」とだけ呟き背を向けた。それは、静かな響きだった。
が、部屋から足音が消える前に大きな叫び声がした。
私は、世界が壊れてゆくように感じた。