『ぼくがどのくらいあなたに感謝しているのか、この手紙にはきっと書ききれないでしょう。なぜなら地球という星がぼくに教えてくれたのは、とてもとてもおおきなことだから。あの星には、本当にたくさんのどうでもいいことや、大切なことを何も知らない人がいました。それなのに、一匹のキツネと仲よくなったり、心が通じ合ったせいで涙が出てしまったり、大人と友達になって、一緒に日入りを眺めたりすることができるのです。ぼくはあの星で、一つしかない特別なものだと思っていた自分のバラが、ありきたりで珍しくもないものだと知りました。けれどそのありきたりで珍しくもないものが、ぼくが世話をしたことで、ぼくだけの大切なたった一つのバラになっていたことに気づいたのです。あんなに大きくて、余計なものばかりあるように見えるあの星だけが、ぼくにそのことを教えてくれたのです』