小説

『山月記トロピカルVer.』横山信之介(『山月記』中島敦)

 「そうさ。隣の芝は青く見えるもんさ。働いてから家と会社の往復の毎日。たまにある休みは遊ぶ気力もない体を休めるだけで一日が終わる。今の俺はロボットか家畜みたいなもんさ」
 「そうか。マサキ・・・お前も辛かったんだな。転んでもただじゃ起きない、その泥臭さと、がめつさが俺には足りなかったんだろうな・・・」
 「じゃあ、早速家に帰って動画作り始めようぜ。反応が悪けりゃ直接テレビ局に殴り込みだ」
 「ああ・・・。俺は何と言う良い友を持ったのだろう。そして何て自分は青かったのだろうと忸怩たる思いだよ」
 少し黙考してマサキはパイナップルコータローに言った。
「いや、お前は青じゃなくて黄だろ」
こうしてマサキは生きる選択肢と可能性をコータローに吹き込み、コータローはパイナップルでありながらも人として生きる事が出来ました。
めでたし、めでたし。
 

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