ある晩の事。
社会人一年目のマサキは仕事を終え、東京の郊外にある自宅アパートに帰る途中であった。駅から十分ほど歩くと竹林がある小道に入る。その先が自宅なのだが、マサキは奇妙なことに気が付いた。
風も無いのに竹林がザワザワと音を立てている。
「何だろう?」
その不可解な音の正体を探そうと上の方に目を向けると、ボトッと何かが足元に落ちてきた。
パイナップルだ。
何故竹からパイナップルが落ちてくるのか分からなかったが、そのパイナップルは明らかに普通のモノとは違っていた。
ギョロッとした目が二つ、ギラリと光る二本の八重歯を持った口があったのだ。
人面パイナップルだ。
「うわああああああああっ!」
マサキは恐怖を孕んだ野太い声を上げると一目散に逃げようとした。
「ま、待て・・・」
その声は確かにパイナップルからした。
「待ってくれマサキ・・・」
自分の名前を呼ばれたマサキはますます戦慄を覚え混乱した。
たじろぐマサキに対し、パイナップルは淡々と話しかける。
「俺だよ。コータローだよ。覚えていないか?」
パイナップルに知り合いなんかいるはずないだろうと思ったマサキだが、ボソボソと鼻が詰まった様なウィスパーボイスは聞き覚えがある。