文学の世界では、昔から名作をもとにした新しい物語が創作され続けています。
ここでは、数ある新釈・スピンオフ・アレンジ作品の中から、ブックショートおすすめのものをピックアップしていきます。
- ・新しい解釈や要素をあたえてみる
- ・時代や設定を変えてみる
- ・物語の視点を変えてみる
- ・後日潭や続編を想像してみる
など、切り口は様々です。みなさまの執筆のヒントになれば幸いです。 ※逐次更新。
桃太郎が鬼退治に向かった理由は仕事をするのが嫌だったから?
芥川龍之介が描いた、正義の味方のイメージを覆す悪・桃太郎伝説。
猿への仇打を果たした蟹たちの後日潭。彼らは警官に捕まり、主犯の蟹は死刑、臼や蜂は無期懲役に処せられた。芥川は断言する。「これは、事実である。」
幼い娘のために絵本を読み聞かせる父。浦島太郎、カチカチ山、舌切雀・・・お馴染みのおとぎ話が、太宰流ユーモアによっていつの間にか別の物語に。カチカチ山は、作家 湊かなえさんが思う”昔話をアレンジした最高傑作”。
地獄のような島での生活を離れ、“雲の糸”を掴んだ主人公。彼の成功に群がる島民たち。姉が最後に語りかける言葉が素敵です。芥川『蜘蛛の糸』がモチーフの短編。
太宰治、最後の作品『グッド・バイ』のオマージュ。太宰の死によって未完に終わった色男のストーリーを、伊坂幸太郎が現代に置き換え完結させました。
現代の大学生も、友のために疾走する(走れメロス)。挫折し、天狗になった誇り高き先輩(山月記)。京都を舞台に、ポップな青春小説として甦る名作の数々。
「あたい赤ずきん。」いしいしんじの赤ずきんは、マグロ船に乗った彼氏を想い、海亀を助け、車に箱乗りし、透明なおおかみとともに出かけていく。
アンデルセン童話「人魚姫」を下敷きにした絵本。今日マチ子の淡い色彩のイラストと淡々と進む悲しい恋の物語は、読者をどこか幻想的な気分にさせます。
“世界の北野”と文豪・夏目漱石の名作『坊っちゃん』の組み合わせ。とても読み易く軽快なコメディですが、かなりブラックです。1980年代の作品。
こちらも『坊っちゃん』のパロディ的要素の組み込まれた作品。奈良の女子校へ赴任した「おれ」が、日本を守るために奮闘するファンタジー小説です。
彼らは本当に“不忠臣”だったのか。吉良家討ち入りに参加しなかった赤穂浪士たちにスポットを当て、それぞれの心情を鮮明に浮き彫りにした歴史小説です。
ショートショートの神様、星新一の時代小説。いつも“悪者”扱いされる吉良家の侍が主人公。赤穂浪士支持の世論や幕府に納得いかない彼は、、、
一緒に暮らし始めた女性が作る布は、都会で大評判に。次第にやせ細っていく彼女。にも関わらず布作りを無理強いしたことで、悲劇が。最後の一言が強烈。
孫悟空と観音様の禁断の恋。SF御三家の一人である著者が描く“ポルノ版西遊記”です。神仏恐れぬ短編小説は、お子様の手の届かないところに。
内田百閒が、師匠・夏目漱石の代表作の続編をユーモアたっぷりに執筆。死んだはずの「我輩」が目を覚まして住み込んだ「五沙弥先生」宅でのお話です。
源氏物語を女性目線から描いた作品。光源氏に寵愛された女君やその侍女達が、愛、嫉妬、悲しみ、不安など、様々な感情を告白していく恋物語です。
日本最古の歴史書の超訳。フリーの神主で神道ソングライターである著者が、ただひたすら記憶とイメージを頼りに古事記を語り、それを記録した一冊です。
チームのエースとして活躍していた野球大好き少女アリス。彼女は小学校卒業を機に野球を辞めてしまったが、顔を輝かせながら不思議な話を語り出す。
「いつから自分が落ちつづけているのか、アリスにはわからない。」アリスがウサギの穴に落ちていくシーンを何十倍にも膨らませた短編小説。落ち続けながら、穴の細部を観察し、さまざまな思いをめぐらしていきます。
演劇界の重鎮、別役実によるバカボンの戯曲。とある街の交番に赴任してきた警察官が、そこで暮らすバカボンファミリーに翻弄される不条理な物語。
田山花袋の名作『蒲団』を妻の目線から描いた”打ち直し”と、現代の中年アメリカ人男性の恋物語が交錯。女性たちの声が聞こえてきます。
猿蟹合戦を司馬遼太郎風の文体で書いた作品。随所に本筋とは無関係の余談が散りばめられています。著者は、パスティーシュ(模倣)作家として有名。
「こんな夢を見た。」有名な一文で始まる夏目漱石の短編『夢十夜』のオマージュです。幻想的な雰囲気はそのままに、最後にどんでん返しを迎えます。
SF御三家、小松左京の短編。タイムマシーンに乗った主人公が、平安時代にタイムスリップし紫式部と対面。源氏物語の幻の作品『雲隠』の真実が明らかに!?
劇作家の著者が、普通なら一時間程度で読み終わる横光利一の短編小説『機械』を11年かけて読み、その一文一文から想像を膨らませたエッセイ。
「俺はもう、誰かの脇役ではない」。西遊記の沙悟浄、三国志の趙雲、司馬遷に見向きもされないその娘。中国の古典に現れる脇役たちにスポットを当てた連作小説集。
遠野に限りない愛着を寄せる鬼才が、柳田国男の名著『遠野物語』の世界に挑戦する、現代の怪異譚9話。中島京子さんもおすすめの一冊。
二人の詩人の冒険に立ちはだかる謎につぐ謎、奇人また奇人!物語の行方は、この世の二階にあるといわれる、幻の〈電氣ホテル〉へ――。落語の『二階ぞめき』をモチーフにした”この世の二階”に潜む欲望。
太宰治、吉川英治、ケストナー、ドイル、アンデルセン……。あの話この話が鮮やかに変身するパスティーシュ小説集。思わずにやりとする、文芸の醍醐味がたっぷり!
死んだはずが、目覚めたらなぜか上海にいた「吾輩」。そこへ飛び込んだ苦沙弥先生殺害の報、そして犯人はこの街に? 漱石文体を駆使した書下ろし1000枚、純文学をぶっ飛ばす奇想天外の大冒険ミステリー。
少年探偵団と怪人二十面相の息詰まる対決に胸を躍らせた過去を共有する人気作家5名が、当時のドキドキ感を筆に込めて、見事なオマージュ・アンソロジーを紡ぎ出しました。
日本最古の文学作品を作家・池澤夏樹が新訳する。原文の力のある文体を生かしたストレートで斬新な訳が特徴。読みやすさを追求し、工夫を凝らした組みと詳細な脚注を付け、画期的な池澤古事記の誕生!
ビートルズの「ホワイトアルバム」をモチーフにした16の短篇集。本の装丁も「ホワイトアルバム」さながらに白く、とてもおしゃれです。