リンレイ
ご担当者インタビュー
ブックショート第三弾の企業コラボレーション企画として、7月1日(土)から「リンレイアワード」を開催。大賞賞金50万円に加え、大賞作品はショートフィルム化が検討されます。そこで、株式会社リンレイ 企画開発部チーフリーダーの山田貴之さんと同部 岩田知佳さんに、本アワードに込めた思い、そして「日本のキレイ」という募集テーマの意図についてお話を伺いました。ご応募前にぜひご一読ください!
-まずは、リンレイさんがどのような会社なのか、応募者の方にご説明をお願いできますでしょうか。
山田:私共は「快適な居住空間をクリエイトする。」という企業理念のもと、ワックスや洗剤等の製造販売を手掛けているメーカーで、今年創業73年を迎える、ワックスの国内リーディングカンパニーです。一般消費者向けの商品では「オール」というロングセラー商品でお馴染みの方も多くいらっしゃいますし、最近では「ウルトラハードクリーナー」という住居用の超強力洗剤が大ヒットしています。また、住居やビル、公共施設等のビルメンテナンスの現場で使われるクリーナー類の製造販売も手掛けております。当業界にも弊社は深く関わっているので、間接的にはなりますが、弊社商品とこれを読んで頂いている殆どの方々とは恐らく何らかの形で関わっている、と言っても過言ではありません。
-今回の応募テーマ「日本のキレイ」に込めた思いについて詳しく教えてください。
岩田:当社は1944年の創業以来、「キレイ」をずっと追い求めてきました。私たちが考えるキレイの三原則は、「汚れを落とすこと」「つやを出すこと」「キレイを保つこと」ですが、そうした表面的なキレイと同時に、もっと本質的なキレイを突き詰めたいという思いを持っています。つまり、日本人が伝統的に有している美観、清潔、「キレイ」の意識をさらに普及させたいと考えているんです。
山田:そうすることで、日本の衛生環境や美観が維持向上されるだけでなく、その過程において、親から子へ、あるいは祖父母から孫へといったように家庭や社会で将来世代にキレイ文化が継承されます。その結果、コミュニケーションが醸成され、豊かな社会の実現に繋がっていく。そうした思いを凝縮した言葉が「日本のキレイ」です。
-昨年度から御社と多摩美術大学と実施されている産学共同プロジェクトは「日本のキレイ」をテーマに授業を開講していると伺っています。これはどのようなプロジェクトなのでしょうか?
岩田:「日本のキレイ プロジェクト」は、多摩美術大学の学生さんたちが「日本のキレイ」をテーマに製品開発・販促・PRなどのデザインを一年間かけて考え、成果物を作り上げる授業です。通常の講義では、学生さんたち一人一人が発表したアイデアについて、先生を含め皆で意見交換やディスカッションを行い、弊社としても助言しながら企画をブラッシュアップしていきました。また、ゲスト講師の招聘やデザイン系イベントへの出展、プレゼン強化合宿も実施しました。最終的に学生さんたちには、弊社役員や社員の前で研究成果プレゼンテーションをしていただいて、単位取得となります。
山田:美術大学というだけあって、学生さんたちの発想はやはり大変ユニークで、本プロジェクトから「リンレイ戦隊 WAX」という戦隊もののヒーローやそのテーマソング、「妖怪家荒らし」といったキャラクターなど、様々な成果が生まれました。出来上がったものだけを見るとややポップな印象を受けるかもしれませんが、学生さんたちは完成に至るまでに試行錯誤を繰り返し、理論を積み重ねています。彼ら彼女らはデザイナーの卵ですから、もともと物作りは得意なのですが、このプロジェクトを所管されている多摩美術大学の松澤教授は、その過程にある思考の積み重ねを非常に重視されています。
-学生さんたちにとっても実社会を体験できる非常に意味のある授業ですね。
岩田:多摩美術大学さんとの取り組みは私たちにとっても非常に大きな強みですから、最終的には企画の実現や製品化を目指して、さらなる展開をイメージしています。今年度は、「日本のキレイ」普及のためにどういったコンセプトや製品、啓蒙活動を提案していくべきかを大テーマに設定し、四月から授業を開講しています。
-そして、今回のブックショートとのコラボレーションでは「日本のキレイ」をテーマに短編小説の公募がはじまります。
山田:私たちの考える「日本のキレイ」にシナジー効果を産むためにも、外部の方々とコラボレーションすることでより広くそのコンセプトを普及させたいと考えています。「日本のキレイ」の新たな視点を発見できるような短編小説が集まってくれたら嬉しいです。
-御社の商品には、「日本のキレイ」に寄与するものが揃っていますよね。
山田:たとえば、「ウルトラハードクリーナー」は、一般的な洗剤では落とすことが難しい「黒ズミ」、「黄ばみ」、「アカ汚れ」等のしつこい汚れを徹底的に洗浄できる超強力洗剤です。汚れというのは、日々生活していくなかでどんどん積み重なっていってしまいます。毎日掃除していればキレイを保つことができるかもしれないですけど、現実的には難しいでしょう。汚れが溜まってくると、汚れていることに慣れてしまい心まで張りがなくなってしまう。そうしたときに、洗剤のケミカルの力で掃除をサポートできれば、心のモヤモヤ感も晴れるのではないかと考えています。
-たしかにそうですね。
山田:「ウルトラハードクリーナー」のラインナップとしては、リビング用、おふろ用、キッチン用を取り揃えています。日常的に使用するということでなくても、落としたい汚れがあったときにこれを使えばきちんとゼロに戻すことができる。そうやってキレイを維持していこうとする姿勢が日本人の美徳感覚に繋がっているのかなと思います。
-御社はワックスも取り扱っていますよね。
山田:清掃用品というのは基本的に汚れというマイナスをゼロに戻すものですが、ワックスは、おそらく唯一のプラスアルファをもたらす製品だと私は思っているんです。保護効果、ツヤ効果、掃除が楽になる効果という三つのプラスアルファ、そして、それに加えて、部屋が明るくなることが心の豊かさにも繋がっていく。しかも、ワックスがけをしようと思っても面倒でなかなかできないので、ワックスを自分自身でかけた後は何物にも代えがたい達成感と満足感が得られると思います。
-なるほど。
山田:そして、自分自身に対するご褒美の意味合いもあります。自分しか使わない部屋でも、帰宅したときに床がツヤっとしていると気持ちいいですよね。それが日々の糧になると考えています。
岩田:また、家庭用のトイレ用品を例にとれば、自分や家族しか使わない自宅トイレのキレイを保つことは、自分自身と家族への思いやりだとも言えますよね。そういう精神を積み重ねて行くことで、家族のコミュニケーションも醸成されていくのではないかと思っています。
-それでは、ブックショートの応募者の方に期待することを教えてください。
山田:「日本のキレイ」という言葉は大きな概念なので、様々な解釈ができると思います。私たちとしましては、清掃という観点からそこへのアプローチを試みていますので、例えば京都の綺麗な四季、富士山の風景といった自然の景観美がモチーフだと少し離れてしまうのかもしれません。欲を申し上げれば、応募者の方が思い描く「日本のキレイ」像に私たちがお役に立てたら嬉しいなと思います。そして、私たちが想像もしなかった「日本のキレイ」に気づかせてくれるような物語が集まるといいなと期待しています。
-お掃除というだけでも、様々なシーンが思い浮かびます。
岩田:家庭のなかのキレイに加えて、今年度は、公園や病院といった公共施設等のキレイへの発展を目指しているので、そうした場所にもフォーカスしていただけるとありがたいです。
山田:ブックショートの過去の掲載作品を読ませていただきましたが、皆様本当に上手いですよね。私たちですと、たとえばワックスの良さを伝えたいときに、その本質的な部分を言葉にすることは難しい。ですから、それをぜひ応募者の方に短編小説という物語で具現化していただきたいと考えています。
岩田:たくさんのご応募お待ちしております。
-ありがとうございました。