『兄妹が産んだ誓い』
梶野迅
(夏目漱石『吾輩は猫である』『浦島太郎』)
ある夫婦の間に悲しい運命を背負った男の子が生まれた。それは男の子が何か動く度、沢山の人が傷付くというものであった。その子の名は「戦争」。男の子は人が傷付く姿を見て、この世から消えたいと願っていた。ある日、お母さんはお父さんに渡してはいけない贈り物をする。それを見た男の子は……
『T大学文学部のメロスと申します。』
伊藤佑介
(『走れメロス』)
「……メロス様の今後ますますのご活躍をお祈り申し上げます。 敬具」メロスは大学4年生、厳しい就活戦線に何も知らずに飛び込んでしまった。企業から送られてきた不採用通知のメールから採用活動の理不尽さに怒りを覚えたメロスは、その不満を面接官にぶつけてみるのだが……。
『僕は普通のサラリーマン』
二月魚帆
(『シンデレラ』)
僕は普通の、どちらかといえば地味なサラリーマンだと思っていた。ある朝、いつもどおり会社へ行こうとすると見知らぬ男が立っていた。いつもの電車に乗りたい僕は男に急いでいる旨を伝えるも、どうしても履いて欲しい靴があると言う。ああ、そういえば最近のニュースでそんなことを言っていた。