『後日譚』
遠藤大輔
(『山月記』)
「あんたの旦那に会った」と男が告げるが、女はさほど興味がないようだ。男のかつての同僚である旦那は、地位を投げ打って小説家になると宣言したまま行方が分からなくなっていた。旦那は狂ってしまっていたと説明する男。女は「あの人、どれぐらいの速度で歩いてました?」という質問を投げかける。
『おやゆび姫 -後編ー』
泉谷幸子
(『おやゆび姫』)
苦難の結果、美しい花の王子様と出会い、仲良く暮らしていたおやゆび姫ですが、ある日花が枯れると同時に王子様は死んでしまいました。おやゆび姫は深く悲しんだ後、我が身の来し方行く末を考えるのでした。
『記憶の女』
永妻優一
(『人魚姫』)
もうすぐ今日が終わろうとしている。眠りにつこうとしたとき、電話が鳴った。名も知らぬ女からの電話。記憶にない女からの電話。彼女は言う。「ひとつお話をしてあげようか。だけど注意して。これは本当にあった話なの。あなたの小さな頭の中で考えたようなヤツじゃなくて」彼女の話が、始まる。