状況を説明した。店も続けるかどうかはまだ決まってないというと
「そうなの、困る~。ここがなくなったらやだ~」と涙を流した。
普段から思っていたが、奥さんがうちの店にいらして楽しんで笑っているのを見ると、ホントに心から楽しんでいるのがわかる。どのような私生活かまではわからないが、羽を伸ばしているな~という感じがして、私も楽しい話をして更に楽しんでもらおうと思ってしまうのである。
ご主人はお酒が入る前は、私の勝手なイメージだが、固くて隙のない感じのする人に見受けられるが、お酒が入ってくるとそれが和らいで少し砕けた話しぶりなるところをみると、佐藤さん家族にとってうちの店は大切な場所、時間だったのではないかと思う。あのホッピーの彼らもホントに惜しんでくれた。村田さん、小田さんには主人が入院してすぐに、直接自分で連絡していたらしい。
その後、店に電話がきて店長不在でも来てくださるとのことで、4月中の営業予定日をお知らせすると早速「この日は大丈夫。あとこの日も大丈夫。この日も。」と、3日分予約してくれた。ご来店してくれた帰り際に、小田さんが
「また絶対来きますから。連絡ください!店長にお伝えください。元気になって戻ってきてください!また、おいしいお寿司作ってください。もし違うところでやることになったら連絡ください!絶対絶対ですよ!」
村田さんは「うん、絶対来るから。うん、うん」としきりに頷いていた。
現実は厳しいものだ。
その後主人が大手術をし命は救われたものの、回復にはかなりの時間が必要だということがわかり、それに加え体力的にもまた同じ体に戻るわけではないので難しいだろうということもあり、やむを得ず店をたたむ決意をした。店長本人が一番辛いようで2年近く経った今でも、店があった近辺に行くといろんな想いが駆け巡り、とても冷静ではいられなくなるらしい。主人の場合、自分の店というのは自分の分身ぐらいのものなのかもしれない。
今日、酒屋でホッピーを見た。
やっぱあの二人を思い出す。
あー、ホッピー黒飲みたくなってきた。
カゴに一本入れる。