特集

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​2014年度ブックショート大賞作品を原作としたショートフィルム「HANA」。再来月に迫った公開を前に、主要キャストの岡本夏美さん（ハナ役）、北村優衣（リツ役）さん、大関れいかさん（レイカ役）のお三方による座談会を開催しました。「HANA」の主題であるコンプレックスについて、それぞれの経験に基づいたリアルなお話が展開され、女子高生の“今”が浮き彫りに。これを読めば「HANA」を一層楽しめること間違いなしです。​

–『HANA』の原作や脚本を読んだ感想はいかがでしたか？

岡本：胸からこんなに物語が広がるんだなって驚きました。でもたしかに、女の子同士で胸の話はけっこうするかも。

北村：うん。高校生くらいになってくると、胸の話をしないときはないんじゃないかってくらいする。

大関：そうそう。

岡本：だから、すごくリアルなお話だと思いましたね。ハナのように薬を飲んで胸が大きくなるってことは現実にはないとしても。

大関：胸に限らず、容姿についての話題は多いよね。だから、コンプレックスについての話はすごくリアル。

北村：芥川龍之介の「鼻」も読んだんですけど、「HANA」のほうが、現代の女子高生は共感できるところが多いだろうなって。斬新だし読みやすかった。

岡本：たしかに斬新だった。

-ちなみに、原作を書いた結城紫雄さんは、20代後半の男性です。

一同：えー男性！？

大関：こわいこわい（笑）。まじっすか。研究したのかな。

北村：こわい（笑）。

岡本：すごく女心のわかる方ですね。びっくりした！お会いしてみたいな。

-女の子同士でする容姿の話ってどんな感じですか？

大関：本当に真っ黒ですよ（笑）。例えば、誰かが「足が太いのが嫌なんだよね」とか言うと、みんなで「○○ちゃんよりは細いから大丈夫だよ」って、その場にいない人と比べたり。

岡本：細い人が、明らかに自分より太い人に「細いよね」って言ったり。

北村：言うよね。「痩せたいわー」みたいな。

大関：明らかに自分より太い人に、「私痩せたいわ」って（笑）。

北村：それが日常茶飯事。

大関：でも、そこにあんまり深い意味はないんですよね。

岡本：そうそう。

-三人とも学校は共学だそうですが、そういう話をするとき、男子の目は気になったりしないですか？

岡本：私は気にならないなぁ。

北村：私は気になるんですけど、友達はわりと、むしろ男子に聞こえるように話していることとかあるかも。男子が下ネタを大声で話して女子に聞かせるのと同じで。

大関：女子は「自分のことをわかって欲しい感」が強い子が多くて、変な意味で男子の目を気にするところがあるのかも。自分のことを色々わかってほしいから大声でそういう話を。

-胸についてはどんな話題を？

北村：体育の時間、着替える時なんて……。

岡本：触ったりするよね。

北村：そうそう（笑）。それに周り子の胸をチラッ、チラッと。「あ、大きい、あ、小さい」みたいに観察する。自分と比べてどうかとか、みんな見ていると思いますね。口に出すかどうかは別として。

大関：「HANA」のバスケのシーンで、胸が揺れて、男子が「おお！」って沸くところがあるけど、ああいうのって女子も一緒。意外に女子も胸を見てるんですよね。

岡本：うんうん。

-主人公のハナのコンプレックスは胸が小さいことでしたが、みなさんは何かコンプレックスを持っていますか？

北村：私は、おでこが広いのがコンプレックス。

大関：えー？

北村：それに、髪の毛がツルツルしてて、一本一本が細くて、毛量も少なくて……。だから、中学生の頃、みんなからずっと「ハゲ」呼ばわりだったんですよ（笑）。でも、なんかそのあだ名に愛情を感じたので、もう公認していましたね。「やめてよー」って言いつつ。いじれるハゲだった（笑）。逆に高校入ったらハゲって呼ばれなくなったので、なんかちょっと寂しいなって（笑）。

岡本、大関：笑

北村：でも、今でも鏡見て、あぁおでこ広いなって思ったり、抜け毛が激しいなって思ったりすることはありますね。髪の毛には気を使うようにしています。

大関：私は歯並び以外は全部コンプレックスで。

岡本、北村：えー！

大関：でも、自分自身では容姿のこととかそんなに気にしていなくて。逆に動画とか写真でコンプレックスをネタにするんですよ。私、めっちゃ足短いんで、短足を強調した写真をtwitterに載っけて、「やばくない？」みたいに。それで笑ってもらえたらいい。笑ってもらえたら、もうコンプレックスじゃない。リアルに抱え込むんじゃなくて、さらけ出しちゃう。

岡本：私もそっちのタイプかな。死ぬほどポジティブなんですよ。自分のなかに嫌なものがあったとしても、いや、これこそ、逆に自分の出せる部分なんじゃないって思う。

北村：うんうん。

岡本：私は声がもともと低くて。中学生の時に、3人組アイドルとして朝の番組に出てたんですが、他のメンバー二人はめっちゃ高くて可愛い声、ザ・アイドルみたいな感じなのに自分は……。それで、頑張って高い声を出そうとしてたけど、辛すぎた。疲れちゃってすぐ声枯れたり。

大関：無理してたんだ。

岡本：うん。そのときはすごく気にしてた。でも、あるとき、女優の先輩や監督に、「絶対に地声でお芝居した方が魅力もあるし、いいよ」って言ってもらえて。なんか吹っ切れたというか、これでいいんだって思えるようになった。それに、バラエティ番組でお笑い芸人さんに「その声、酒灼け？」っていじらってもらって「いやいや未成年です。（笑）」って答えるくだりで笑いをとれて美味しかったことも（笑）。

北村：それは美味しい（笑）。私も声はコンプレックス。低いんですよ。でも、これはどうにもできないことだから、それをああだこうだ言うよりも、自分のいいところを伸ばした方が自分のためになるんじゃないかなっていうのは思っていますね。

大関：そうだよね。

-他人と自分を比べたりすることもあります？

岡本：それは絶対ありますよ。たとえば、Twitterで、可愛い子の自撮りを見たりなんかすると、「同い年なのにまじか！」とか「なに、この色気！」とか思ったり。この顔に生まれてたら人生違っただろうなみたいに思うことありますよね。

北村：私は、同じ年の人とかがテレビ出ているのとかを観ると、あ、いいなってすごく思います。

岡本：でも、結局そういうのって無い物ねだりじゃないですか？

大関：うんうん。一つ解決したとしても、きっとまた別のコンプレックスがどんどん出てくるだろうし。

岡本：絶対出てくる。

大関：特に女子はね。だから、私は諦めみたいな感情もあります。諦めて、受け入れて、生きていく。

北村：そうそう！なんか、この三人、みんな前向きだよね（笑）

岡本：大関：そうだね（笑）

-最後に、『HANA』への意気込みをお願いします。

岡本：胸が大きくなったことによって変わっていくハナの外見や内面を上手く表現できたらなと思います。振り切ってできるお話なので、そこは振り切って頑張りたいです。

大関：私は、レイカというそのまま自分の役なので、いつもの大関れいかというキャラクターを全開で出して、周りを盛り上げられたらと思います。

北村：私自身、女子高生なので、現代の女子高生をリアルに演じられたらなって思います。そして、『HANA』を観た人たちが、個々の持っている自身のコンプレックスをクスっと笑えるようになったり、そんなに気にしなくていいんだって思ってもらえるような斬新な作品にしていければと思います。

-本日はありがとうございました！ ショートフィルム『HANA』は、6月に開催するShort Shorts Film Festival & Asiaで公開予定です。乞うご期待！