ブックショートでは毎月2つのテーマをもとに、これまでの優秀作品のなかから短編小説を特集していきます。
今年は申年ということで、1月の特集②は「猿」がテーマ。
さるにちなんだ昔話の二次創作です。
鬼ヶ島での決戦後、故郷の猿山でボスに君臨する猿は、新世代の台頭に悩まされている。一方、犬は恵まれながらも不本意な暮らしを送っていた。彼らが共に浸るのは、“あの頃”の思い出だった。
私はまた、サルの夢を見て目を覚ました。ここ一週間その夢ばかりだ。小学五年生の夏に転校してきた彼女。猿の物真似が上手かったからサル。あっという間に人気者になった後、同じスピードで悪意が集まった。私は何もやっていない。
彼女は少女の秘密の隠し場所を母親特権でこじ開けた。母親に隠し事をしようなど言語両断。恨むならこの私の腹の中で面倒な性格を選んだ自分を恨みなさい。毎度毎度のことながら、真紀の本音を知るためにはこうするしかないのだ。
忘年会での失態により日本に鬼ヶ島を作ってしまった天帝は、日本経済を回復するため鬼退治の計画を迫られていた。苦肉の策で天界から一つの桃を下界へ落とすことを決意した天帝。計画遂行のため、雉へと姿を変えて日本へ向かった天子。桃太郎の活躍で日本経済は活性化。桃太郎誕生前夜の物語。
その日は台風の影響でバー「モンキーアンドシザーズ」には客が一人もいなかった。マスターが店を閉めようとすると、びしょ濡れになった女が駆け込んできた。整った顔立ちの品の良さそうな女。店を閉め、二人が酒を酌み交わすと、ふと女は語り始めた。謎に満ちた誰も知らない昔話を。
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