『←2020』
西荻麦
【「20」にまつわる物語】
時は2020年。世界中が一つになるイベントが開催され、盛り上がっていくはずの年だった。しかし、生命体は忽然と姿を消し、僕一人だけが生き残った。この最悪な未来を変えるため、タイムカプセルを過去へ宛てようと試みる。そのメッセージは20個にまで増えていき……。
『隼人とヒトリ』
林凛
【「20」にまつわる物語】
働きづめで熱を出してしまった主人公、ヒトリ。彼は夢の中で不思議な扉を見つける。その扉の向こうには大学時代の親友、隼人がいた。20歳。あの頃俺たちは若かった。そして甘かった。
『チクタク誰かにチクタクと』
もりまりこ
【「20」にまつわる物語】
寺子と治夢はひたすらまずしい夫婦だった。寺子はクリスマス・イブの日に、お金をつくろうと、<シザーハンズ>へと出向く。ここは切った髪をお金に変えてくれる。そのなけなしのお金を手にして治夢に時計を贈りたい。クリスマスの当日、住み込みで働いていた治夢がやっと帰ってきてくれるのだが。
『拝啓 佐伯先輩殿』
戸上右亮
【「20」にまつわる物語】
「僕」は田舎町に住む中学三年の不良少年。とは言っても気が弱く、恰好だけは一端のヤンキーだが、実際には近所の川で釣り三昧の平和な日々を送る。そんな中、二学年上で最も恐れられていた佐伯先輩に「僕」と数名の同級生は代表として呼び出される。先輩が呼び出しをかけた、その理由とは。
『光は揺れる』
長谷川蛍
【「20」にまつわる物語】
二十歳になったひかりは悩んでいた。だが、何に悩んでいるのかも曖昧で、身動きのできない自分が本当に嫌いだった。そんな時、深夜に彼氏の家に向かう途中で不思議な雰囲気を持つおじさんと出会う。二十歳の揺れる心を書いた短編。
『陰ーHer shoes』
柳井麻衣子
(『外套』)
派遣社員でアラフォーの安貴はボロボロになった靴を買い変えようと決意する。新しい靴を手に入れた翌日、通り魔の被害に合い、病院で目を覚ました時には靴の片方はなくなっていた。間もなく安貴は体調不良になり病院で亡くなる。その直後から夜道に老婆の幽霊が出ると噂になるようになった。