『ちょうどよかった、じゃねえよ』
鷲尾エミ
コロナを機に職を失ったあや香は引きこもっていた。そこに昔好意を抱いていた同級生奥野から連絡があり、同窓会の誘いだと勘違いし断るも、二人で会おうと誘われる。食事の約束をするも、彼から九州転勤の話を聞かされ、彼は結婚にちょうどいい相手を探しているだけだとわかり、冷めてしまう。(小説)
『フリージャズみたいにいきたい』
くろいわゆうり
私は「堅実的な」人間だった。ただ「堅実的過ぎる」がゆえ、自分を変えたかった。職業をかえてその「堅実さ」から抜け出したと思ってもうまくいかない。そんな折、ある出来事によって私は新しい自分になるチャンスを得るが…。(小説)
『狐独は雨に流されて』
亜古鐘彦
久しぶりの帰省から戻った朝美はイナリの家へ向かった。“個人的な孤独”を共有したあの大晦日がこの難儀なふたつの人生を繋いで、お互いの綻びを繕い合っている。知ってもらう必要は無かったけど、あなただったから話せた。悩みが無くなる訳ではない。でもふたりなら笑ってふざけて生きていけそうだ。(小説)
『ENDLESS NIGHT』
前田涼也
深夜、奈緒は目を覚ました。眠れなくて、悶々としながら夜をやり過ごす奈緒は、隣で眠る恋人の修也との昼間の会話をプレイバックする。昼間の修也は素っ気なかった。どうすれば修也を喜ばせることができたのか、奈緒の脳内でシミュレーションが行われる。(小説)
『この子のななつのお祝いに』
荒木義晴
かごめかごめととおりゃんせは、身売りされる子供を歌った童謡という都市伝説がある。江戸時代の大阪で暮らしているみや。もうすぐ七歳になるみやの家は、貧困に苦しんでいる。ある日の夕暮れ時、父親はみやを神社に連れ出す。みやは自分がそこで売られるとも知らず、父に喜びついていく。(小説)
『父娘の食卓』
前田涼也
父と二人で暮らしている紗子の家は、ルールで溢れている。すべてのルールは父によって定められ、家族が正しく機能するための指針となっていた。ある日、紗子は父の荒んだ姿を目撃した。正しく生きていた父からは想像つかない姿に、紗子は父を見失う。(小説)
『ゾロ目』
山羊未
夏のある日、僕は会社の休み時間に同僚と買い物に来ていた。そこで同僚に買い物をしながらいつもいちいち細かく頭の中で勘定をしていることを指摘される。 それはゾロ目を出さないようにするためだった。(小説)
『タイムラインを遡る』
柿ノ木コジロー
年老いた啓介はベッドの上で目が覚める。枕元にどこか覚えのあるような少女。彼が目を閉じると、次々と遡っていくのは過去の記憶……それはどれも啓介が大好きな風呂につながっていた。(小説)
『美しい風景』
うめ
男は陰鬱なニュースばかり流れるTVを捨て、代わりに絵を鑑賞することにした。友人から譲り受けたその絵は、自分の住む場所とは真逆の世界で、さらに絵の中では時間が流れているという不思議なものだった。美しいものだけを眺めていられることに満足していた男だったが、ある日風景に変化が現れる。(小説)
『十三夜の姫たち』
川瀬えいみ
「そうして、お姫様と王子様はいつまでも幸せに暮らしました」で終わる西洋の白雪姫やシンデレラ姫の物語とは全く逆の人生を生きた、日本のかぐや姫、竜宮城の乙姫、瓜子姫。三人の姫は、日本の幸せな姫を探して、十六歳の女子高生・日ノ本幸姫の許にやってきた――。(小説)
『今日も私は生きている』
瑞乃木しのぎ
私は、ずっと寸分違わぬ今日を繰り返している。私をタイムリープさせている張本人である悪魔でさえも痺れを切らすほどに。私がタイムリープを繰り返す理由は、病気から死を意識した自分を救ってくれた少女を守るためだった。少女の言葉から覚悟を決めた私は、また明日へと歩みを進めていく。(小説)
『死神の告白』
北嶋征生
生きる意味を見いだせず、自殺の名所である岬を訪れた青年は、死神を名乗る男に出会い、死を覚悟する。だが、死神が語り始めた意外なエピソードに引き込まれていくうちに、希望が芽生え、自殺を思いとどまる。青年が立ち去った崖に一人残された死神の男は、海に向かって「真実」の告白を始める──。(小説)
『いいものは、いい』
ウダ・タマキ
夫を亡くした和美は、一人寂しい生活を送っていた。趣味と言えば読書と新聞を読むことくらいだが、老眼鏡が壊れてしまってからは、それさえも億劫になった。そんな姿を見かねた息子が、和美に眼鏡をプレゼントしようと眼鏡屋へ連れ出した。購入したのはピンク色の老眼鏡。そこから和美に転機が訪れる。(小説)
『昭和の馬と令和の鹿』
村田言
昭和のヤンキーと言われた主人公は、今はガソリンスタンドで日々真面目に働いている。息子とは関係性がうまくいっておらず男はどこか諦めぎみであったが、ある日息子がカンニングをしたとの連絡が入る。トラブルを経て息子と話すことになる主人公だが、彼は息子に馬鹿こそ最強だと説く。(小説)
『チボ』
赤羽3郎
チボとはスリの異名。それを生業としている男は阿波踊りに目をつけ、混雑する夜の会場で観客の財布に手を伸ばす。だが、そこへ同業者が現れ、獲物を横取りされてしまう。業を煮やした彼はその中年から盗み返してやろうと動きだす。しかし、電光石火の早業で自身の所持品を奪われ、挙げ句、お縄になる。(小説)
『依頼主』
えきすときお
町工場の経営者の直樹の父のもとに訪ねてきた謎の人物が複雑な図面を見せて多額の報酬とともにこれを作ってくれと依頼する。父は職人の名誉にかけて完成させ受け取りにきた人物のあとを直樹につけさせる。人気のない公園に出現した宇宙船にその部品をつけるとやがて空に向かって飛び立ってゆく。(小説)
『希望の酒』
山本
望実の実家は地方の小さな酒蔵だ。父の希一は蔵を継続させるため、毎年鑑評会で金賞を狙うが結果を出せずにいる。跡を継ぐつもりのない望実は都会のデザイン会社で働いている。ある年の冬、地震が望実の地元を襲う。お酒は無事だったが、瓶に貼るラベルがない。そこで望実は新しいラベルを提案する。(小説)
『ファミリア ストレンジャー』
さくらぎこう
人との関りあいを極力避けて来た。他人と一緒に暮らすなど考えられず結婚もしないで今日まで来た。母が遺したマンションに越してきて30代最後の誕生日の日、いつもエレベーターで乗合せる人と初めて挨拶を交わす。たったそれだけなのに、母が何故ここを選んだのか理解できた気がした。(小説)
『メランコリーレイクサイド』
大久保佑馬
学生時代に両想いだったヒロインに罰ゲームでウソの告白をしてしまったという後悔を引きずる主人公は、大人になっても純粋な恋愛に向き合えない。友人の結婚話をきっかけに主人公はヒロインに渡そうとしていた五千円の指輪を十年越しに渡そうと決心するが、同時にヒロインは近々結婚すると打ち明ける。(脚本)
『丹 8号』
八木
主人公の祖父は認知症の祖父の家を片付けている際に古い通信機らしきものをみつける。それは少年時の祖父がかかわっていた巨大ロボットの操縦機だった。操縦機を渡された祖父は断片的に記憶がよみがえり市内某所に隠された巨大ロボットを起動させ共に海に消えていく。(脚本)
『イジメ撲滅将軍』
太田純平
中学一の暴君である小野が今日も同級生をイジメる中、全校集会が開かれる。そこで生徒会長の工藤は、学校にはびこるイジメ問題を解決すべく「イジメ撲滅将軍」という役職を創設することを表明。その初代「将軍」に小野を任命する。(脚本)
『ブルー』
高橋康太
母と妹と三人暮らしをする双葉家の長女、優子は、婚約したばかり。何一つ不満のない幸せの絶頂のはずが、元々の冷静な性格も相まってどうにも気分が上がらない毎日を過ごしていた。嫁入り当日、妹が恋人を連れてきてラブラブっぷりを見せつけられた優子はさらに憂鬱になり……。(脚本)
『お面』
高橋康太
高校生になった相模(さがみ)よよ(15)は、憧れていたアルバイトを始めることに。ところが、社会で働く大人たちは自分が思っているほど立派ではなく、そのギャップにショックを受ける。そんな中、父親の会社で『仕事参観』なる職場見学が実施されることになって……。(脚本)