小説

『心霊写真、以前』原田修明
(inspired by 小説『もらい泣き』)

 幸せだった。

 あたしは夫の肩越しに、直也君の写真を覗きこんでいる。
 不満だった。曲がりなりにもプロのくせに、全然なっちゃいない。
 あたしの右手しか写っていなかった。
 なのに夫は、眼に涙を浮かべ、しみじみと写真を眺めていた。

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