小説

『秋の恩返し』川瀬えいみ(『信太狐(大阪府)』)

太郎の返信に、ジョンは非常に慌て、混乱したようだった。すぐに、取り乱したジョンの嘆き節が飛んでくる。
「太郎の友だちだと思っていたから、トンボの化身だという彼女の話を本気にしなかったのに!」と。

秋山茜は本当に精霊トンボの化身だったのだと、ジョンは今では本気で信じているようだった。
口数は少ないが、美しく印象的な女性だった。
『もし私があなたに助けられた精霊トンボで、あなたに妻にしてほしいと求めたら、どうします?』
彼女の問い掛けにどう答えればよかったのか。ジョンは、その答えを未だ見付けられずにいるようだが。

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