小説

『意地悪なお姉さん』鷹村仁(『シンデレラ』)

 父が再婚をした。とても綺麗な女性。再婚は全然構わなかったし反対ではなかった。しかし嫌な事が一つだけあった。それは、その女性には連れ子がいた。名前は「美和」で、私と同い年の17歳。平凡な顔をしている私とは対照的に、美和はとても綺麗な顔をしていた。それが私にとってとてつもなく嫌なことだった。

 「初めまして。よろしくね。」
 我が家で初めて顔を合わせた時、美和は笑顔で挨拶してきた。とても綺麗な顔。こんな綺麗な子に顔をじっと見られて挨拶なんてされたことがなかったから、咄嗟になんて返していいか分からなかった。
「・・・よろしく。」
 目線をそらしながら挨拶をしてしまった。それでも自分は精一杯だった。
「冴子、しっかり挨拶しなさい。」
 父に注意される。
「初めまして。よろしく。」
 睨みつけるように挨拶をしてしまった。しかしこれが限界。しかし美和は笑顔を崩さなかった。とても小さな顔だと思った。

 美和は自分と同じ高校に転校してきて、隣のクラスになった。案の定学校がざわついた。無理もないと思った。それぐらいの顔とスタイルをしている。
 休み時間になると隣のクラスに人間が押し寄せてきた。それは男子だけではない、女子もだった。
「ねぇ冴子ちゃん、見た?」
友達の薫が話しかけてきた。
「何が?」
 すっとぼけた。
「何って、転校してきた美和っていう子。メチャクチャ美人だよ。」
「そうなんだ。」
「見てないの?見てきなよ。ちょービビるよ。」
 めんどくさいと内心舌打ちをしてしまった。隠しているのも面倒なので薫には事情を話した。
「うそ!」
「本当。」
「すごくない?!やばいじゃん。」
 何がすごくてやばいのか全く理解ができない。
「他の人に言わないでね。面倒だから。」
「分かった。」

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