小説

『ボクと小さな本屋さん』鈴木沙弥香【「20」にまつわる物語】

 香菜さんがボクに付けてくれた名前を、ボクはとても気に入っている。昔、ボクはずっと“野良猫”というあまり良い響きではない名前だったから。
「ありがとう」
 そう言った香菜さんに答える様に、ボクは機嫌よく鳴いて見せた。
 雨の日、ボクが雨宿りに寄ったここ『twentieth days』。
 ボクはここに助けられた。そして人が好きなって、人に恋をした。このことはまだ誰にも言えてない、ボクだけの秘密だ。

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