小説

『午前六時、二十インチマン』豊臣ヒデキチ【「20」にまつわる物語】

 妹に。
 「完全にフランク・アバグネイルね。」
 そもそも、まだ中学生の妹がフランク・アバグネイルを知っているという事実の方が驚きなのだが。
 まあそんなことはどうでもいいか。
 父親は会社に行った。
 母親は家事をしている。
 妹は中学校に行った。
 ミッシュは僕の横でお座りをして、一緒にテレビを見ている。
 マフィンは玄関でうんこをしてた。
 なんか臭いと思った。
 僕はとても誇らしい。
 何が誇らしいって、こんなにも僕を素敵に形容してくれる家族が誇らしい。
 もちろんミッシュとマフィンも僕の大切な家族である。
 僕は自分の部屋に戻り、20インチのパソコンを開きながらベットに横たわった。
 流石の早起きと、朝食を食べたせいか少し眠い。
 午後の用事までまだ時間がある。
 眠ろう。
「『眠ろう』うっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっlおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンんえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっlっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっyっっっっっっっっっっy」 目が覚めると、僕は20インチのパソコンに頭をもたれて寝てしまったことに気が付いた。
 眠気まなこで画面を見ると、最後に書かれた『眠ろう』の文字とその後に続く意味のわからない文字がDNAの配列のように羅列されていた。
 僕はそっとパソコンの画面を閉じ、一人病室のベットから、空がいつも通りの顔になるのをただ見つめていた。
 午前六時。

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