小説

『赤穂浪士にお邪魔 二十人の愉快な仲間達』洗い熊Q【「20」にまつわる物語】(『赤穂浪士』『ぶんぶく茶釜』『笠地蔵』)

 時は元禄十五年十二月十四日(1703年1月30日)。
 吉良邸への討ち入りを未明へと決行するに、粉雪ちらつく冬空の下で赤穂浪士の面々は、同士達が集結するのを、焚火囲んで待っていたのであります。

 

「う~寒い、寒い! 毎年の事だけど、こんな雪の中で待つのは辛い~」
「確かにそうだな。しかし今年は皆の集合が悪いな~、まだ半分しか集まっていない様だが……」
 そう見まわしながら危惧するは吉田忠左衛門。大石内蔵助の補佐役です。
 忠左衛門が懸念する通り、赤穂浪士四七人の半分程度の様子。
 何より心配なのは肝心の大将、大石内蔵助が姿を見せていない。
「内蔵助さんはどうしたんだ……何時もなら一番に居る筈なのに……」
 不安で周囲を伺う。すると誰かが近づいてくるのが夕闇中に見えます。
 誰か。いや、人とは思えない。
 獣か。犬とも見える。
 近づいて来たと思った獣は、忠左衛門に向かい吠え立てたのです。
「あのっ吉田忠左衛門さんですか!?」
「はっ!?」
 獣だったは間違いありません。
 だが毛羽たたしい装ういとはほど遠い。
 身体の鉄瓶から顔やら手足が生え出てる、そして尻尾をふりふりしている狸が忠左衛門に話し掛けてきたのです。
「だから吉田忠左衛門さんですかっ!?」
「えっ? ああ、そ、そうですが……」
「良かった! 火消装束の変な集団が居たら、それがそうだとしか言われなかったら……渋谷に行きそびれちゃったハロウィン集団かもと思えちゃったし」
「(し、失礼な言い回しを……)」
「私ね、ぶんぶくというタヌキです。あ、体が何故に茶釜というのは聞かないで下さいね? 話すと単行本10巻位になっちゃうんで」
「は、はぁ」
「それでね私、くらちゃんとSNSで友達になってるですけど……ああ、くらちゃんてのは内蔵助ね、大石内蔵助」
「え、ええ」
「くらちゃんから”俺、今回行かないから。あと、よろぴく”と忠左衛門に直接伝えてくれと頼まれちゃって……」
「え……ええ!?」
「そーいう大事な事ね、自分で伝えなさいよって言ったんですよ。バツが悪いんだか何だか言って、頼むから私から言ってくれってもう……て、聞いてます?」

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