小説

『飛べなかった記憶』高橋己詩【「20」にまつわる物語】

 そのフラミンゴは、視線を通して私に問いかけてくる。

 あなたは、ここから飛び立つつもりなの?

 私も間違いなく、ここから飛び立つ。今日か、今日じゃなければ近いうちに。決して私は十九人を傍観していた人間ではない。当時はそのつもりだったかもしれないが、結局は私も二十人の中の一人だったのだ。
 それに気が付いたのは、あの証明の日から、どれほど経ってからのことだろう。

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