小説

『空は青とは限らない』富田未来【「20」にまつわる物語】

「上」
画面が変わる。
「斜めした」
画面が変わる。
「右」
保健室で、右目をスプーンで抑えている少女がいる。
「はい、いいですよ」
スプーンをおく少女。
先生が診断表の視力の欄に2・0とかいた。
「目がいいのね」
そう言いながら、先生は一冊の本を出す。
その本にはたくさんの丸い点がある。それは色盲をテストする本だった。
*色盲とは「ヒトの色覚が正常色覚ではないことを示す診断名である」
たくさんの色の点の中には「20」という数字が浮き出ている。
「なんて書いてありますか?」
「・・」
「数字です」
「・・わかりません」
先生は紹介状と書かれた紙を綺麗に三つ折りにして封筒に入れ、少女に渡した。
「これ、お母さんに渡してくれる?」

少女は母親と眼科に行った。
少女の瞳は、検査の薬のせいで瞳孔が開いている。
机の上には青から緑へ、グラデーションになっている磁石が20個バラバラに置かれている。
「順番に並べてみてください」
無表情な眼科の先生が言った。
グラデーションの順番に並べてみるが、うまく並べられない少女。
「色盲は主に遺伝です。ご家族に色盲の方はいらっしゃいますか?」
「私の父と・・あと、旦那が」
「そうですか」

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