小説

『婚活パーティー20の空欄』じゅんざぶろう

14.好きな食べ物
「お米」
 これは本当だし、女性も喜んでくれるんじゃないだろうか。
 お米は誰にでも簡単に作れるし、お米が好きな男性を女性もきっと好きなはずだ。
 やっと自分が納得できる回答ができて、少しだけ参加意欲が出てきた。

15.年収
「500万」
 多くはない。でも普通こんなもんなんじゃないのか。
 正直よくテレビで、「あの一発屋歌手が現在の年収を暴露!」みたいな番組をやっているが、他人の年収なんてまったく興味ない。
 多かろうが少なかろうが、自分になんの影響があるというのだ。
 ただ多いと思われたほうが良いのだろうが、嘘を書く場面でもないし、500万にしておこう。
 ボーナスはない。
 ボーナスのある会社に入ればよかったと、就職してボーナスをもらっている大学時代の友人の話を聞いて、初めて知った。
 まさか、今日この場でボーナスがあるのかないのか聞かれることはないだろう。

16.今日の意気込み
「頑張ります」
 愚問。
 意気込みもなにも、初めて参加するのだから、なにをするのかも、なにを頑張るのかもよく分かっていない。
「頑張ります」と書いたが、頑張ってなんとかなるものなら、今日ここには来ていない。
 おそらく、力を抜いて、気負わずにやるのが一番なんだろうが、今日は無理だ。
 もうお腹が痛くなってきたし、終了の時間まで無事に終わるのを祈ろう。
 最低の目標である、傷つかずに家に帰る、を達成するために最大限の努力をするしかない。

17.自分を動物に例えるとしたら?
「鳥」
 もはやこの会の主催者は俺らをバカにしてきているとしか思えない。
 この質問から、どうやりとりが広がるというのだ。
 いつもこのゴミゴミした人間密度の濃い世界から抜け出したいと思っているのと、なんとなく、鳥の目線で世の中を見たいって、今ちょっとだけ思ったから書いたまでだ。
 犬とか猫にしたほうが無難だと思ったが、そっちで食い付かれても困る。

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