小説

『メートル』大澤匡平

 寺の坊主は黙り、小僧が鼻を垂らして笑った。
「20は3で何回割る事ができるのか。」
 大学受験を控える僕は、坊主と小僧の真ン中に住む。

 卒業を別れに自動変換した女子高生が輪を修復し、輪を撫でては、新たな輪で人を刻んで、笑っている。おぞましくなんかない。周回数が増えただけ。

 手を挙げたのは、彼女と僕だけだった。
 正式にいうと、彼女が挙げたのを見て、遅れぬように手を挙げた。卒業アルバム制作委員への任命は心ない拍手で無事完了。女子が円で暮らす生物なら、彼女は線で暮らす女性。靄の線を歩く彼女は綺麗なのに不幸そうだった。それを追っている僕は彼女と同等に僕が愛おしかった。
 彼女とは、3年連続で同じクラスだったのにも関わらず興味を持ったのは、2ヶ月前のこと。日曜に昼寝をしすぎたせいで、天然の早起きを月曜に。いつもより1時間半も早くついた教室に、いた。
 朝陽に照らされた彼女は、綺麗に机にもたれ眠る。僕と彼女しかいない教室には、時計と寝息が交わらずに、ぎこちないリズムながらも肩の力を抜いた。
 しばらくして、間違ったかのように体を起こす彼女は、恥ずかしそうに参考書を開く。今日の今までその映像は脳の表側に貼付けてある。会話などそんな高貴なものはいい、と初めは思っていたが小僧というのは欲深く浅ましいものだった。
 登校時間を人工的な運命を操作して彼女に合わせ、顔の認知に努めた。
 人間性の破片を拾ってもらうために、授業の挙手は一日五回とした。
 清潔感印象の定着には、背伸びをした柔軟剤に頼り服装面を充実させ、髪の毛は早朝シャンプーで解決を図った。
 相似のために、イヤホンで円の遮断をして、群れからは離れた。
 自然的な匂いに、孤立と不幸。彼女に近づくほどに興奮は増した。

 
 国語の資料室で、彼女と2人。
 クラスメイトの登場回数を平均化させた平均点の卒業アルバム作り。
 悪いことなんかない。食べられるものを作るのに慣れただけ。

 中身のある会話をしようと口をあけると、彼女と目が合う。

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