小説

『青い鳥』多田正太郎(『青い鳥』)

だつて、そういストーリーだよ。
だからさ!
だから?
そう。
全然、君の言いたいことが、分からないよ。
持ち帰る、これ分からない?
お持ち帰りでーす!
とか。
ビニール袋に入れて、はい! とか。
持ち帰るだろ。
何だい何だい、おちょくってる? 俺のこと。
おちょくる?
ああ。
何で?
こ、こっちが聞きたいよ!

朝よ! 起きなさい!
クリスマスよ! 今日は。
お母さんの声で、目を覚ました。
自分たちの部屋の、ベッドの中です。
青い鳥、これ探す旅。
それは、終わりました。
青い鳥を、見つけることが出来ないままに。

このシーンなんだけどさ、結局さ夢?
夢?
だって、この結びならさ。
たしかにねぇ。
だろ。
そこが、俺の行き詰まりなんだけど。
えー、君の、行き詰り?
そう。
ずーっとだけど、全然分からんよ。
おやおや、君さ、ずーっと、分からずなの?
そう、ずーっと。

でも、でもです。
鳥かごの中に、青い羽根が。
チルチルとミチル兄妹は、それに。
気付きます、飼っていたハト。
それが青い鳥だ!
幸せの青い鳥。
それは、ぼくたちの家にいた!
あの、魔法使いのおばあさん。
幸せは、すぐそばにあっても。
なかなか、気がつかない。
それを教えてくれたんだ!

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