小説

『ブレーメンの音楽隊』多田正太郎(『ブレーメンの音楽隊』)

とても穏やかな死。
そういう感じの死でした。
その朝には、知恵の書。
書き続けていた、それを仕上げ。
愛用のポシェットに、しまい込んだ。
その瞬間でもありました。

ニワトリの埋葬を終え。
ふー、大きなため息の後。
ロバは、トボトボと、歩きだしました。
本当に、ふらふら、トボトボ、と。
それでも、歩き続けました。
愛用のホシェット。
これを、首から下げ。
それが、左右に小さくブラブラと。
中には、旅の仲間との思いでとか。
いくつものエピソードも、綴られ。
その中には、イヌとネコだけでなく。
ニワトリや自分の、前世。
このことについても、です。
ああ、でも、メイン、それは。
課題を目指す。
だから生き延びる、その知恵。
このことについての、ことです。
ポシェットに収められた、知恵の書。
年老いたロバには、下げ続けるのは・・。
ふらふら、トボトボ。
ふらふら、トボトボ。
もう、そろそろ、無理のようです。
その時、夕日が。
美しい、街のシルエットを。
浮かびあげました、クッキリと。
ブレーメン、だ!
それ目にし。
ふー。
静かに、息を引き取りました。
首にかけられた、ホシェット。
そこ中の、一冊の小さな書、知恵の物語。
やがて時が過ぎ。
ロバは、土に帰っていきました。

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