小説

『ブレーメンの音楽隊』多田正太郎(『ブレーメンの音楽隊』)

なんだか、痛々しいなぁ。
痛々しい?
ああ、もう充分、酷使した体だろ。
話のストーリー展開から言っても、な。
うーん、そうだよなぁ。
もう充分だろ、とか思ってしまうぜ。
ブレーメンの音楽隊って、よ。
そういう年老いた、主役たちの物語なのによ。
依頼主からは、よ。
そんな主役たちの結末とかを、書き直せって。
ホジティブに、だとよ!
そんな突飛な、依頼。
全然、進まないなぁ。
ああ。
おいおい、でもよ。
何だ?
いいんでないのか、それでよ。
何だよ、何を言い出すかと思ったらよ。
ブレーメンに、よ、行きつかないよな。
ああ。
達成感とか、無いこのストーリー展開がよ。
なんとも自然な感じ、しないか?
ありゃ、ありゃ、同じこと感じてたんだな。
おお、そうか!
それとよ。
死が、身近だよな。
死が?
一般的には、若者よりよ。
ああ、それは確かだよな。
だから、会話が、よ、どうしても、な。
ネガティブだろな。
だろな、多分。
まぁ、人による、そう言いたいのだろ。
そう。
たしかに、おっしゃる通りだけど、よ。
ネガティブ、これ多い、俺はそう思うな。
だからこそ、ブレーメンに、よ。
行きつかないのよ!
行きつかない?
ああ、ブレーメンに、な。
そう、その町、をな、目指し続けるのよ!

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