小説

『僕は惑星』義若ユウスケ(『よだかの星』)

 陽気に惑星の歌を歌っていると、海中の動物、植物、その他大勢いろんなものたちがみんな渦に吸いこまれて僕のところにやってきた。
 僕は雪だるま式に触れるものすべてを吸収し、身体を成長させた。月くらいの大きさに成長した僕はやがて自転の遠心力で浮くことができるようになった。
 僕が抜けたあとの海はずいぶんと水嵩が減って、不細工だった。
 僕は回りつづけた。
 僕は雲をぬけ大気圏をつき破り宇宙に飛びだすと、間抜け面で驚いている月に物言う暇も与えずにドッカーンと体当たりした。
 粉々に砕け散った月は無数の欠片となって地球に降りそそいだ。地上にまだ人間がいるのならきっと、うっとりしながら空をながめたことだろう。
 こうして僕は月にとって代わった。僕は第二の月となった。月二号。未来永劫、この座は誰にも譲らないつもりだ。
 わっはっはっはっは。わっはっはっはっは。わっはっはっはっは。わっはっはっはっは。わっはっはっはっは。わっはっはっはっは。わっはっはっはっは。わっはっはっはっは。わっはっはっはっは。わっはっはっはっは。わっはっはっはっは。わっはっはっはっは。わっはっはっはっは。わっはっはっはっは。わっはっはっはっは。

 
 見あげてごらん夜空の月を
 よく見りゃうろこがついている

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