小説

『REBOOTER / リブーター』結城紫雄(『変身』カフカ)

 なるほど、とカズトはひとりごちた。近年のライターシリーズは従来から大きく路線を変え、一作品に複数のライターが登場する。そして演じる俳優は皆ブレイク前の若手俳優だ。下手なドラマよりも多くのイケメンが登場する「平成版ライター」は若い女性にも大人気だと聞いたことがある(ネットで)。仮面ライター出身の俳優は皆その後人気が爆発することから「イケメン俳優の登竜門」とさえ言われているらしい。
「最近は女子高生が特撮見るのか」
「結構皆みてるよ。今やってる『仮面ライター電電』って俳優の佐々藤タケルでさ、おかげで日曜早起きだよ私。もーハマちゃってネットで昔のも見てんの。でも白石さん凄いですね、ベルトまで作っちゃうなんて」
「苦労したブヒよ」
「やっぱり一号といえば風ですもんねー」
「風?」
「あれ知らないんですか?ライター一号って風力発電で動いてるんですよ、確か初期設定では」
「そ、そう、そうなんだよ。だからプロペラつけてみたんだけど、これ苦労したよまったく」
「にいにも伊達にヒッキーやってないねー、ちょっとまた今度それ見せてよ。白石さんもごゆっくり」
「あ、ああ」
 玲が部屋を出て行くと、二人はほっと一息ついた。
「まさか玲ちゃんがライターに精通しているとは」
「まあとりあえず、俺の腹が減らない原因はわかったな。このベルトのプロペラでエネルギー作ってんのか」
「うんこ製造機じゃないだけそこらのニートよりマシだな」
「これからメシいらないって母さんに言わなきゃな」
「にしてもだ」と、うんこ製造機の白石。
「今は何が流行るかわからんな。JKが仮面ライターを語る時代だぞ。お前もその姿になったおかげで久しぶりに玲ちゃんと喋れたんだろ、そりゃあ嬉しいよなあ」
 それは否定できない。
「くー、しかしJKはたまらんな。玲ちゃんもうJKかあ。JCの玲ちゃんもJSの玲ちゃんも良かったけどやっぱJKだな。くんかくんかしたあい」
「黙れ殺すぞ」
「それにお前“にいに”なんて呼ばせてるのか。うらやまけしからん」

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