小説

『生まれたままの姿』多田正太郎(『北風と太陽』『オンドリと風』『風の又三郎』)

解析とか、スピード、飛躍とかしても、よ。
風の俺と、太陽のお前、のよ。
生まれたままの姿、これ解明だと。
無理だって、まだまだよ。ああ、それでな。
風さんよ。なんだよ。
お前さんの気持ち、少しよ、分かったぜ。
いや、そんな気がしてきたぜ。
ほー、それは有難いなぁ、太陽さんよ。
ハハハハ、ハハハハ。
とにかく、よ、とにかく、風と太陽。
そういう名でよばれ、俺たちが存在して。
人間界が、よ。
俺たちテーマや素材に、書き続けてきたよ。
神話とか、物語とか、歌とかも。
飽きもせずに・・、いや、失礼か。
俺たちが、死滅し、あの世で。
そんな物語とかに、出会うとき。
どんな出会いなのか、ってな。
もし、そうもし、そんなシーンがあるなら。
そう、そんなシーンがあれば、だけど、よ。
人間界、20万年の歩み。
そりゃー大変だった、べさ。
いや、これからも、な、大変、だべさ。
べさ、なぁ、まぁ、いいか。
何度も、耳にしてると、これもいい感じかも。
だべ。
ハハハハ。ハハハハ。

それから、20万年後。
人間界は、大祭典を、間近に控えていた。
何の祭典かって?
まぁ、様子を見てみよう・・、おっ?
おやおや、まだ癖が抜けないな。
癖?
見てみよう、なんてさ。
どうして?
見えないのさ。
姿を構成していた、体。
とうとう、その物理的制約から。
解放されたのさ、完全にね。
えーっ!
そんなに驚くことないよ。
生まれたままの姿。
それに、たどり着いたんだもの。
遠い昔にさ、意識とか、精神とか、心とか。
いやいやまだまだ、色々な表現でさ。
語られたリ、歌われたり。
まぁ、気、これが近いかもね、ある面でさ。
とにかく、随分ね、かかったけど。
そう、とうとう、体、その物理的制約から。
解放さ、完全にね。
食糧や環境問題? 病気? 貧富の差・・?
ハハハハ、必然的に解放さ!
その記念祭典だよ!
ほら、来賓の、風と太陽さんとかも。
あっ、こっちに合図してるよ。
そうかー、記念祭典かぁ、いいねえー。
う? だけど、あんた誰?

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