小説

『生まれたままの姿』多田正太郎(『北風と太陽』『オンドリと風』『風の又三郎』)

おっ、また、いつもの講釈かよ。
講釈だと、そんな風に、理解されてるのか。
そんな風、だと。ああ、さっきの、ふう、よ。
ふう、の乱発だ! 乱発だとー。
ほー、そう、とるのかよ。
なら、まぁそっと、しておくべきだろか?
なんだよ、そっと、しておく、とかよ!
確かによ、気になる言い方したけど、な。
だけどな、伝説とはなぁ・・・。
モチャモチャ、口ごもってよ。
その態度、俺の、苛立ち、分かるかよ!
いままでも、お前の講釈に、よ。
散々振り回され! いつも、いや、大体かも。
まぁ、どっちでもいい!
ハァ、ハァ、ハァー!
何だ、その、ハァ、ハァ?
エキサイティングした息よ! ひさびさだ!
退屈、吹き飛ばしたぜ。お蔭様で、な。
そうか、それは良かったな。
だけどよ、よく思いつくもんだなぁ。
素直な北風伝説とかよ。
ハハハハ、意外性、意外性。
そんな閃き、これ大事なことだぜ。
平凡な日常では、特に、な。
閃きとか、平凡な日常とか、よくも次々と・・。
これ、混乱呼び起こす、べさ。
混乱だと? ああ、混乱よ。何だそれ?
ほら、ママとかよ、最近は、パパかも、な。
ママとか、パパかも、混乱?
この話、寝る前、そんなイメージよ。
そうか、お前が言いたいの、読み聞かせだろ。
当たり! 聞いてる子供、混乱よ。
お前の、伝説ってー、話では、よ。
なるほど、そうか、そうか、確かになぁ。
だろ。素直な北風、これじゃー、ダメかぁ。
なんとか、ちよっと、ばかりよ・・。
ちょっと、そんなもんじゃーないぞ。
素直な北風、つてー結びは、よ。
素直にとらえれば・・。ダメダメ、ダメダ!
じゃー、話、戻すぞ。ああ、やむをえんな。
北風と太陽・・。風なぁ。 
このシーンからだったな。
そして。何だよ? 良かった、ってな。
ほー、良かっただと? ああ、よかった。

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