小説

『生まれたままの姿』多田正太郎(『北風と太陽』『オンドリと風』『風の又三郎』)

これじゃーよ、感じ違いすぎだ!
とはなぁ・・、言ったものの、いいんだ。
あらあら、いつになく、アッサリと。
どうかしたのか?
こんな風に、感じる人間も、な、ってな。
こんな風? そんなふう、によ。ふう、だと?
この場合、そんな感じ! この、ふう、よ。
そうか、若者風、年寄風、この風だな。
まぁ、それは分かったけど、よ。
何かまだ、分からんのかよ?
風の又三郎の話だった、ろ。
ああ、そうだった、そうだったぞ。
これ、やっぱり、いやか? ああ。
お前がなぁ。ああ、俺だから、だよ。
よし、これならどうだー?
北風と太陽、その勝負。
北風と太陽が、勝負だとー? 
知らないのかよ。
どっかで耳にしたこと、あるような、気が。
またいつもの、おトボケ、かょ。
ストーリー、気に入らと、知らんふりかよ!
まぁ、それはいいか、この段階では、な。
いいから、太陽と風が、どうしんだよ?
論争に発展してよ、力試よ。
ちょうど、そこに旅人が。
そいつの着てるものを、脱がす。
これで、勝敗を、な。
最初のトライは、風よ。ピュー、ピュー!
北風だもの、たまらない。寒いの、なんの。
服、飛ばされないように、頑張るさ。
おっ、こいつ! これでもかー!
ゴー、ピュー! ゴー、ピュー!
フヒャー、さーむーい!
当然の成り行きとして、重ね着よ。
負けた! 北風が、太陽に負けを、告げた。
おーおー、この話なぁ。まだ話の、前半だぞ。
いや、ここで、おしまいよ。
ならよ、太陽の出番ない、べさ。
素直な北風、だろ、これよ。
素直な北風だと! ああそう、素直な北風。
俺たちの間では、伝説よ! 
風の素直さ、これがテーマだろ。
おいおい、ちょっとよ。
いや、いや、かなりだなぁ。

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