小説

『夜鷹の星』春日部こみと(宮沢賢治『よだかの星』)

「夜鷹……かわいそうな、おれの醜い星」
 まるで睦言のようにそう囁いて、鷹は鋭く腰を動かした。
 ずん、と大き過ぎる異物が自分の中に入り込んだのを、夜鷹は感じた。尻が擦れて、焼けるように熱い。
「ああ、気持ちが好い……お前の中は、とても気持ちが好いぞ、夜鷹」
 鷹が浮かされたように言って、腰を振り始める。
 ずちゃずちゃと卑猥な音を立てて、鷹の猛りが自分の腹の中を行ったり来たりする。
「んんぅううう、ううううう――――!!」
 熱い。痛い。苦しい。
 それなのに、突き上げられる度、それだけではない痺れがぞわぞわと夜鷹の中に膿んでいく。
「はぁ、ああ、夜鷹、夜鷹」
 鷹の息が切羽詰っていく。
 夜鷹の中の痺れも、溜まりに溜まって、その時を待っている。
 鷹の怒張がより一層太さを増して膨れ上がり、尻を大きな手で鷲掴みにされる。
「ああっ、夜鷹、夜鷹――――」
 夜鷹は烈しく揺さぶられながら、躰中の毛が逆立つのを感じた。
 目の前に、白く揺蕩う光を見る。
「ぅ、ぁあ、もう、出るっ」
 吼えるようにそう言って鷹がどぷりと腹の中に精を放ったと同じ時、夜鷹もまた細い身を震わせて、愉悦の境地に逝ったのだった。

***

 夢を見た。
 青い青い空を夜鷹は飛んでいて、光り輝く太陽に向かって話しかけるのだ。
「お日さん、お日さん。どうぞおれをあなたの所へ連れてって下さい。灼けて死んでもかまいません。おれのようなみにくいからだでも灼けるときには小さなひかりを出すでしょう。どうかおれを連れてって下さい」
 両手を組んで頼む夜鷹に、けれど太陽は答えた。

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