小説

『メリーさんの涙』桝田耕司(『メリーさん、口裂け女』)

「私ね、韓国でこっそり、整形したの。流行りもしない口裂け女をやめて、これからは見返り美人で生きていくわ」
「で、でもぉ~、それは、妖怪でもオバケでもないですよぉ~!」
「う~ん、じゃあ、妖怪キス女なんて、どう? この唇なら、男はみんなイチコロよ」
「それは、ただの痴女だよぉ~!」
 泣き上戸のメリーさんは、朝まで大粒の涙を流し続けました。

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