小説

『ビーフジャーキーと猫』広都悠里(『七匹の子ヤギ』)

 好き、かわいい、ずっといっしょにいよう、夢のような言葉がささやかれてあたしはああもうこのビーフジャーキーはいらない、と気付く。
 さよなら、さよなら、甘えたがりのさびしがりやの猫、猫のあたしに気付かなかったおかあさん、隠れたまま小さくなっている七番目の子ヤギ、ビーフジャーキーはばしゃりと道に落ちて、あたしはあいた両手を隼人の背中に回す。
 ありがとう、今ここにいるあたしに気付いてくれて。だいすき。 

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