小説

『ぽんぽこ、ぽんぽこ』多田正太郎(『童謡・証城寺の狸囃子』『松山騒動八百八狸物語』など)

言葉が、通じ合えた、のか?

ああ、この国の民の。
英雄、維新の立役者。
西郷隆盛とか、坂本龍馬とか。
たがいに、よ、お国言葉。
これ、だったろう、さ。
身分階級、あったからな。

身分階級、あったから?

そうだろ、活躍した、立役者の
多くは、下級武士だった、ろ。

それが?

江戸詰の、経験。
その、チャンスあったのかなぁ、ってな。
なかったら、な。
その、英雄たちにとって。
そのころの共通語の、江戸語。
喋れなかった、ろうに、とな。

ああ、そういうこと。

お国言葉丸出しで。
よくぞ、成就できたものよ。
維新を、な。

確かに、そうだけど。
何で、そんなこと?

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