小説

『ぽんぽこ、ぽんぽこ』多田正太郎(『童謡・証城寺の狸囃子』『松山騒動八百八狸物語』など)

ハハハハ。
そうだろ、そうだろ。

證 證 證城寺
證城寺の萩は
ツ ツ 月夜に 花盛り
おいら浮かれて
ぽんぽこ ぽんの ぽん  

ぽんぽこ、ぽん!
これいいよ!

ハハハハ。
そう思うだろ。
処は、證誠寺の庭。
我々狸が、せいぞろい。
ぽんぽこ! ぽんぽこ!
腹鼓で、楽しく、楽しく、踊っていた。
和尚さんは、自慢の三味線。
これで、お囃子だ。

そう、ぽんぽこ、ぽん!
どちらも負けたくない。
勝負になった、この話。
知らない狸なんか、いるもんか!
だけどさ、頑張りすぎた、大狸様。
腹が、裂けて・・、だよね。

そうだ。
人間の間で、広まっている話は、な。
だがな、違う。

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