小説

『MP0でも使える魔法』にぽっくめいきんぐ(『シンデレラ』)

 暗がりの丘を駆け下りる少年が街に消えるのを見届けてから、ゴッドマザーは、やれやれとため息をつき、座り込んだ。そこには、少年が落としたバラの花束があった。拾い上げる。
「……届けなければいけないだろうねぇ」
 城の王子とは異なリ、ゴッドマザーはその相手を、既に知っていた。

 魔法でバラを天国に送ることは出来るだろうか。
 墓前に供えた方が良いだろうか。

 いずれにせよ、愛の花は、きっと、少女に映えるに違いなかった。

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